昨日の解答
「\( x \) の方程式 \( ax = b \) を解け。」
( i ) \( a \neq 0 \) のとき
\( x = \displaystyle\frac{b}{a} \)
(ii)\( a = 0 \) のとき
(ア) \( b = 0 \) のとき
\( x \) はすべての実数
(イ) \( b \neq 0 \) のとき
解は存在しない
ゼロ、ゼロ、ゼロ!
まずは \( a \) が 0 か 0 ではないかで場合分けをする。
\( a \neq 0 \) なら安心して割ることができる。
$$ x = \frac{b}{a} $$
もし \( a = 0 \) なら割れないので立ち止まって考える必要がある。
このとき次のように考えた人もいるのではないだろうか。
\( a \) が 0 だから \( 0 = b \) となって、答えは \( b = 0 \) だ。
気持ちは分かるが、もう一度問題をよく見てほしい。
「\( x \) の方程式 \( ax = b \) を解け。」
問題が要求しているのは \( x \) の方程式を解くこと、すなわち \( x \) の値を求めること。
\( b \) の値は聞いていない。
そこで \( a = 0 \) であっても左辺を 0 とせず、\( x \) を残したまま眺めてみよう。
$$ 0 \cdot x = b $$
この \( x \) に何を入れればよいのか。
今度は \( b \) の値が問題になってくる。
もしも \( b = 0 \) なら
$$ 0 \cdot x = 0 $$
となるので、\( x \) には安心して何でも入れられる。0 は何をかけても 0 だから。
ゆえに答えは「すべての実数」ということになる。
もしも \( b \neq 0 \) 、例えば \( b = 2 \) ならどういうことになるだろう。
$$ 0 \cdot x = 2 $$
0 に何をかけたら 2 になるのか。
もちろんそんな数はない。0 は何をかけても 0 だから。
ということは \( x \) に入れることができる数はない。
ゆえに答えは「解は存在しない」ということになる。
壁を乗り越えるキーワード
私は高校数学でまず乗り越えなければならない壁は「場合分け」だと思っている。
「場合分け」の壁は厚い。
この壁を破るのに大切なことは場合分けしたくなる気持ちだ。
「この問題は場合分けをするパターンだから場合分けをする。」
ではいつか行き詰まる。
今回の場合、
\( ax = b \) の両辺を \( a \) で割らなくてはならない。
→ 0 で割ってはいけない。
→ \( a \) は 0 かどうか分からない。
→ \( a \) が 0 かどうかで場合分けしなければならない。
というように、場合分けしたくなってほしい。
”気持ち”になるためのキーワードは2つ。
「丁寧」と「経意識的な経験」。
定理、法則、計算方法を細大漏らさず隅々まで丁寧に頭に入れる。
それを元に、それを使うことを意識して演習問題に当たる。
ごく当たり前のことだ。
でもできていない。
実際、等式の性質4の括弧書きが頭に入っていた人はどのくらいいただろうか。
例え頭に入っていても使えた人はどのくらいいただろうか。
そういうことだ。
結局「王道なし」なのだ。
つまらないオチで申し訳ない。