前回の解答は納得いただけただろうか?

私が初めてあの解答を見たとき、驚いたと共に先行きが不安になった。

「たかだか \( ax = b \) というシンプルな問題の解答がこんな…」

その驚きが興味に変わったおかげで、理系の道を進むことができたのだが。

さて、この問題から学ぶべき教訓は何だろうか。

それは

「文字定数は怖いよ」

ということ。

文字定数は怖いよ

例えば \( x \) の方程式 \( ax^2 + 3x – 4 = 0 \cdots (1) \) は何次方程式?

と聞かれたら何と答えるだろうか。

改めて聞かれれば「これは何かあるぞ」と思って即答は避けるかもしれないが、

おそらく「2次方程式でしょ?違うの?」と思ったのでは?

多項式においてその式の次数を決めるのは最高次の項。

(1) の最高次の項は \( ax^2 \) だからパッと見は2次方程式。

しかし問題は係数 \( a \) だ。

昨日に引き続き、この \( a \) を勝手に \( a \neq 0 \) と決めつけてはいないだろうか?

もし \( a = 0 \) だとすると、(1) は1次方程式となる。

すると、

$$ \begin{eqnarray}
0\cdot x + 3x – 4 &=& 0 \\
3x – 4 &=& 0 \\
3x &=& 4 \\
x &=& \frac{4}{3}
\end{eqnarray}$$

のように解くことになる。

もちろん \( a \neq 0 \) であれば(1)は2次方程式だから

解の公式を用いて、

$$x=\frac{-3\pm\sqrt{9 + 16a}}{2a}$$

やはり \( a \) は怖い。いや \( a \) が怖いのではなくて文字定数が怖い。

(本当に怖いのは丁寧に学んでいない経験不足の自分か…)

では、例えば \( x \) の2方程式 \( ax^2 + 3x – 4 = 0 \cdots (2) \) ならどうであろう?

(1)と何も違いがないように見える。

しかしこれは2次方程式である。

なぜなら「2次方程式」と書いてあるから…

つまりこれは \( a \neq 0 \) ですよ と親切に教えてくれているのだ。

仮に始めの「\( x \) の2方程式」という部分を意識せず読み飛ばした上で、

これを2次方程式と判断したとしても何の問題もない。

しかし、(1)のようなこともあるからしっかり意識すべきである。

今日の宿題

「\( x \) の不等式 \( ax > b \) を解け。」

教科書も参考書も調べない。もちろんググってもいけない。

自力で解いてみましょう。