中3生の生徒さんの授業をしていたときのこと。
彼のぬるい勉強姿勢に突っ込みを入れていたときだったろうか、
お父様が帰宅されたご様子。
「ただいま。」
それに応えるお母様。
「おかえりー。」
ごく普通のやり取りなのだが、
お母様の「おかえりー。」が、なんだかとっても自然で優しい。
私は説教しながらも心の中で、
“ああ、お父さんのことをとっても大切に思っておられるんだなぁ”
“いいなぁ”
と思っていた。
しかし、それはなぜかどこかで感じたことのある感覚。
そうか。うちのカミさん、いつもこんな感じで私を迎えてくれていたんだな。
心を込めた「おかえり」は、玄関を開ける瞬間まで寄っていた眉間のしわを、
アメフトの選手のように盛り上がってパンパンに張っていた肩を、
奥歯がすり減るくらいくいしばっていたあごを、
一瞬で開放してくれる。
当たり前と思っていたら、ばちがあたるな。