6年ほど前、もう立ち直れないのではないかと思えるほどの悲しみを経験した。
あの頃は一人になると、とにかく泣いていた。
車の運転中もずっと泣いていた。
そんな私に2人の生徒が声を掛けてくれた。
一人は当時中3だった男子生徒。
必死に笑顔を作り、彼の部屋に入ると、
「たいへんでしたね。」
なかなか宿題をやらない彼に、私はいつも厳しく接していた。
それなのに、彼は優しい言葉をかけてくれたのだ。
もう一人は当時高3だった男子生徒。
「先生、大丈夫ですか。」
彼はポプラ工房の生徒第一号だ。
思わず声をあげそうになった。
私の心は、彼らの一言でどれだけ慰められたか。
とても言葉では説明できない。
必要のない人には、大して意味のない言葉でも、
それを欲している人間にはこれ以上のものはない。
いま、絶望の中にある子どもたちが、日本中、世界中にいると思う。
大きなことはできなくても、すぐに手助けはできなくても、
たった一言で救える命もあるのだ。
私がそうだったように。