ある日曜日の朝。
リビングから聞こえる子どもたちの声で目が覚めた。
笑ったり、歌ったり、叫んだり、何やら楽しそう。
突然妙な感覚に襲われた。
「俺、これまでこんな瞬間をキッチリ味わい、楽しみ、噛みしめてきただろうか?」
何をやっても「まだまだ」「全然ダメ」「俺なんて…」という気持ちをぬぐえない、
劣等感の塊のような人間なのだ。
40を過ぎて少しずつ楽になってきているが、なかなか解放されない。
だけど力を抜いて自分の足元をよく見てみると、
けっこう恵まれていて、幸せだったりする。
「まだまだ」という気持ちはそれほど悪いとは思わないのだが、
後ろや前ばかり見て、
「今このとき」を見ていなかったのではないだろうか。
仕事のことばかり考えて、
子どもたちやカミさんの話を聞き流していたのではないだろうか。
先の不安で頭が埋め尽くされて、
子どもたちの表情の変化や成長を見逃していたのではないだろうか。
私は飛び起き
ソファに仲良く並んで仮面ライダーを見ている子どもたちの間に割り込み、
彼らのお楽しみの時間を邪魔したのだった。