においの記憶

五感の中で、あなたの得意な感覚は何ですか?

人それぞれ運動や学習に得意不得意があるように、

五感にも人それぞれ得意不得意がある。

私の場合は臭覚だ。

誰も感じないような臭いを感じ、

一人で臭がっていることがよくある。

五感のうち臭覚だけが大脳辺縁系に直接伝達される。

大脳辺縁系は進化的には古い脳で、本能や情動を司っている。

ちなみに理性的な思考を司っているのが大脳新皮質。

本能…情動…かぁ。

大脳辺縁系には記憶と感情を処理する海馬という器官がある。

そのため、大脳辺縁系を直撃する臭いの情報は過去の記憶や感情を呼び覚ますしやすいのだ。

私にも記憶と深く結びついた匂いがある。

例えば、雨が降り始めたときの外の匂いは、

江ノ電沿いをずぶ濡れになりながら一人で歩いていたことを思い出させる。

当時神奈川県に住んでいた中1の私が

なぜそんなシチュエーションにあったのかはまるで思い出せない。

きっと悲しいことがあって一人になりたかったにちがいない。

冬の匂いはたくさんの思い出と結びついている。

「魔法の手袋」をご存知だろうか?

たしか気温が下がると緑の蛍光色のUFOが現れる、

という小学生の私をワクワクさせた手袋だ。

ビオレのハンドソープの匂いは新婚当時を思い出させる。

それまで石鹸でしか手を洗ったことがなかった私は、

ビオレの匂いに浮かれた気分になったことを覚えている。


先日本棚を整理していたら懐かしい本と再会した。

「授業 人間について」。

元宮城教育大学学長の林竹二氏によるもので、

私の進路を大きく変えてしまった本だ。

すっかり埃をかぶってしまっていたその本を開くと

古い本が持つ独特の匂いがした。

あのころ感じた素朴で純粋なものを思い出した。

読もうと思ったが、今の私にはその元気がない。

あの頃の私が今の私を見たらどう感じるだろうか…

もう少し筋トレをしてから読むことにしよう。

Posted by Michael