我が家にフクロモモンガの福助がやってきて半年。
最近懐き具合が加速してきた。
ペットらしいペットを飼うのは中学生まで飼っていたセキセイインコ以来だから40年ぶり。
毎日お世話に時間が取られるが、福助はそれ以上のものを与えてくれる。
福助の住まいは金網ケージ。
これは福助をお迎えする際に専門店で勧められて購入したもの。
お手入れもしやすく特に問題を感じていなかった。
しかし、金網ケージには寒い北国では致命的な欠点がある。
それは保温性の低さだ。
我が家は築30年を超える古い木造。
真冬ともなれば室温はひとケタになる。
南国の生き物フクロモモンガは寒いのが苦手。
考えた末、より保温性の高いアクリルケージに買い替えることにした。
アクリルケージはとてもよい。
保温性に優れ、フクロモモンガ独特の臭いもシャットアウト。
観察もしやすい。
これから長く使っていけそうだ…
しかし引っ越して初日は大変だった。
福助は透明なアクリルの壁を認識できない。
ケージの外にいる私に向かってジャンプし、
その度に壁に激突してしまうのだ。
壁に何度もぶつかって往生している福助の姿は私の生徒たちに重なる。
「おかしい。こんなはずじゃない。」
彼らの心の声は毎日聞こえてくる。
数学の問題を解いているとき、テストの答案が返されたとき、模試の志望校合格率を見たとき、SNSで互いの思いが伝わらず友達と仲違いをしたとき。
そして何より、自分を思うようにコントロールできないとき。
ゲームに負け、スマホに負け、部活後の疲労感に負け、周囲の重圧に負け。
壁にぶつかり過ぎて、終いにはど根性ガエルのピョン吉みたいに壁に張り付いてしまうのではないかと思えるほど。
どうすればいいの?
うーん。方法を知っていれば私ももっと楽に生きられたよなぁ。
私は「人は出会いによってのみ変わることができる」と信じている。
出会いとは人との出会いのみにあらず。
本の一節、映画のワンシーン、歌の歌詞、テレビのCM、
誰かのちょっとした言葉、木や花、フクロモモンガ…
何かと出会って、心を強く揺さぶられて、内側から何かが吹き出してきて、そうしてやっと人は動く。
怒ったり、脅したりするネガティブな動機付け(「〇〇しないと□□になっちゃうよ。」のような)では長続きしないし、そもそも本気で動けない。
「出会いなんて待っている時間はない。」と言われそうだが、ではこれまでのやり方で上手くいっただろうか?
大人は子どもに精一杯いろいろな話をしてあげるのがいいと思う。
自分の経験してきたこと、感じたこと、考えていること。
自分が知らないことでも一緒に調べたり、体験すればいい。
すぐに結果は期待できないけれど、諦めず声をかけ続けることが大切だと思う。
フクロモモンガは賢い生き物。
壁に激突していたのは引越し初日だけ。
人の前に立ちはだかる壁はアクリルケージの壁ほど単純なものではないけれど、
人はフクロモモンガよりずっと賢い生き物ではないか!
(最近、私は少し自信がないけれど…)