一気呵成の単元制覇

むかし予備校で極端な物理の授業をしたことがある。

「山岸の物理10時間特講」

物理は時間のかかる大きな二つの山「力学」と「電磁気学」があり、分量的にはその半分かそれ以下の「波動」「熱学」「原子物理」がある。

予備校は1年弱でこれらのことを教えなければならない。ましてや学生にとってのメイン教科は英語と数学であり、物理などはサブ教科だ。そう多くの時間は割けない。授業のコマ数も少ない。

毎年のことだが「力学」と「電磁気学」で許されたほとんどのコマを使ってしまう。

そこで私は「波動」「熱学」「原子物理」の3単元を、休日1日で講義してしまおうと考えた。ハードではあるが一気に全体を見通すことでモヤモヤ感、「間に合うかな?」のような不安がある程度取り除かれ、「ひと単元終えたぞ」という自信(この感覚はかなり大切だと思っている)と達成感を得らる。そして何より細切れに学習するより頭の整理ができるのではないかと期待した。

しかしながら準備がえげつなかった。全体の構成と流れ、スパッと学生の頭に知識が入るような説明方法や言い回し、長時間飽きさせないような工夫、板書計画、などなど。通常の授業でも同じことをやるのだが、10時間でひと単元を一気にやってしまおうというのだからいつものようにはいかない。各単元にルーズリーフをひとパックずつ使った。

希望者がいるかどうか不安だったが、意外なことに募集してみると満員御礼。

耐久レース的な授業にみんな後半はヘロヘロのようだったが、満足げな表情だった。

そして「参加してよかった」「わかるようになった」と学生たちも喜んでくれていた。

ちなみに、いい人アピールをするようだが、3回実施した「10時間特講」はボランティアである。

ギャラは生徒たちとの連帯感と、彼らの志望校合格で十分だった。(独り身だったから言えるのだが…)

基本的にはコツコツ積み上げる学習を推奨している。

コツコツこそ学習の王道だ。

しかし、時には一気呵成にやっつけるのも悪くない。

たとえば土曜日や日曜日、丸ごと1日使って「今日は二次関数を通しでやってみるぞ」とか「数IIIの定積分、全パターンを網羅するぞ」とかどうだろうか。休日まるまる使えば休憩込みで17時間くらいの学習時間は取れる。

勉強初心者にはいつも薄い問題集を勧めるのだが、それは「やり上げた」感が大切だから。

「一気呵成の単元制覇」も同じだ。「よし、やってやったぞ」感は大切。

しかしながら、一気呵成のあとは問題演習などで継続的にフォローアップすることをお忘れなく。

短期で頭に入れたことは短期で頭から出ていってしまうから。

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