愛ある職業人

私はプロの職業人の話を聞くのが好きだ。

高度な技術、プロ意識、仕事への情熱や愛を感じると話しかけずにはいられない。

人と話すことは苦手なのだが、好奇心の方が上回るのだ。

華麗にシェーカーを振るバーテンダー、24時間365日寿司のことを考えているという寿司屋の大将、コーヒー豆のことを我が子のことのように語る喫茶店のマスター、涼し顔で巧みな技を繰り出すカポエラの師匠、植物学者ですか?と聞きたくなるほど花の生態に詳しいお花屋さん…。

彼らの技に感動しあれこれ質問すると、本当は仕事の邪魔なのだろうが大抵の場合は笑顔で答えてくれる。

どの方のお話もとても興味深くて引き込まれてしまう。

「この人、本当に好きなんだなぁ」

好きなことに打ち込んでいる人のそばにいると、なんだか幸せな気持ちになる。

最近の私はどうだろう?

昔はよく言われた。

「とっても楽しそうに授業しますね。本当に物理が好きなんですね。」

教科そのものが好きなことはもちろんだが、生徒たちと一緒に「学びの場」を作ることが何より楽しいのだ。

(上手く噛み合わない時はコーナーに追い詰められたボクサーのように1分が1時間に感じることもあるのだが…。)

教え方のスタイルやポリシーは人それぞれで正解はない。

私は「その教科を好きで好きでたまらない人に習いたい」と思うタイプの人間だ。

だから私もそうありたいと思う。

でも最近は積み上げた経験の上で自動化した授業になってはいなかったか。

愛はあったか。

先日恩師から「やりたいことをやれる幸せを噛み締めましょう。」というメッセージをいただいた。

必要な時に必要な言葉が与えられるのはありがたいこと。

スマホに向かって頭を下げた。

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